私の住む地域には地域ネコをお世話している方々がいます。
帰宅途中によくいるグレーの毛長「モフちゃん」は、おそらくもともとは飼い猫だったのでしょう、生粋の野良ちゃんと違いすぐに逃げてはしまいません。
私の家族がネコ好きで、よくモフちゃんにご飯を持っていくのですが、手を伸ばせばなでられそうな距離にまで来てくれます。しかしさすがに触られそうと察すると、サッと離れていってしまいます。「ごめんごめん」とそれ以上近づかず、モフちゃんにとって安心できる距離(といっても1mくらい)をとって話しかけたりしています。
この前、ゴロンゴロンと甘えたそうにしていたので、つい家族がそーーっとモフちゃんに手を伸ばしたところ、目の色が変わり『シャー!』とやられてしまいました。一気に心の距離を感じましたね。
ま、こっちが悪い。
この一件は私に、看護師とご利用者さんの関係を思い起こさせました。ご利用者さんがみんな初めから訪問看護師を歓迎しているわけではない。心身の状況上しかたなく訪問看護を依頼する方もいる。
「家」という自分の聖域に入ってくる看護師に、心理的物理的境界線を越えて来てほしくはないと思っていたりする。それは動物も人間も当たり前の感覚です。ときどき訪問看護に抵抗感や拒否感を示す利用者さんがおられると、「訪問看護の必要性を理解されていない」とか「受け入れが困難」という言い方で表現されていることがあります。
でもコレ、こちら目線なんですよね。
「訪問看護の必要性」は利用する側が決めることであるので、ぜひとも必要だ、と思っていただけるアプローチをすること、そしてその時を「待つ」のも大切なのではないでしょうか。ほんとうの意味で信頼関係が築けるまでは、看護師から勝手にグイっと近づきすぎたり、物理的にも感情的にのめりこむことは、決して良いことではないと思うのです。
私の大切にしていること。
医療者にとって最善のことが必ずしも利用者さんにとっての正解ではない。相手の思いをよく聴き、心に寄り添い、同じ方向をみることを大切にしたいと思っています。
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